伯友会

六甲伯友会のオフィシャルサイトです。

寄稿・紀行・聴こう

【寄稿】「初めまして」36期 森川雅浩

UVA Medical Center office にて(2023)

グアテマラで最も乳幼児死亡率の高いマヤの子供の健康プロジェクトに参加(2006)

アフリカマラウィの病院で病棟回診(2018)

研修医に外科手技を教える時は豚を使う(2007)

 

卒業後初めてメールさせていただきます。36期の森川雅浩です。

先日初めて伯友会のサイトを拝見し、懐かしい名前や写真を見つけ40年以上も前の六甲時代を懐かしく思い出しました。六甲生が今やNew Yorkにまで研修に来ていることも全く知りませんでした。まさに広い世界をみる素晴らしいチャンスだと思います。私はたまたま米国Virginiaに住んでいることもあり、何か後輩のお役に立てないかと思いました。

私は東京医大を卒業後、日本医科大救命救急センター、亀田総合病院で外科を研修し1991年に外務省関連の奨学金を得て、Baltimore にあるJohns Hopkins university, school of public health でMPH を取得し、Cleveland のCase Western Reserve University でfamily medicine residency and fellowship を終え同病院で診療する傍ら臨床教育と国際保健活動に従事してきました。2019 年よりCharlottesville, Virginia にあるUniversity of Virginiaのfamily medicine で引き続き診療、臨床教育、国際保健活動を続けています。

私が日々診療する米国の医療現場はいろいろと問題が山積みですが、それらに蓋をせず議論できる土壌がすっかり心地よく住みやすくなりました。我々の外来患者の五人に一人程度は必ず英語のできない難民や移民の人たちです。米国の医療機関は多様な患者さんへの公正な対応を義務付けられているので、Diversity and inclusion を基本的に前提とする姿勢は病院の隅々に浸透しています。それは私のところに臨床見学にくる日本をはじめ諸外国の研修生たちの最も驚くことの一つです。米国の医療現場での問題が良いにつけ悪くにつけ日本で10年くらい経ってから起こっているのは、偶然ではなく日本の社会もどんどんと変容を余儀なくされている結果だと思います。

米国社会には定年がなく、自分が働きたいと思うだけ現役でいることが許容されています。その一方年功に対するリスペクトもあまりなく若手もベテランも一緒に働く馬力と柔軟性が要求されます。学生も研修医も私の講義中に、質問やコメントを次々に投げかけるので、それも外国からくる見学者が往々にして違いを感じるところのようです。

私が現在いるCharlottesvilleはBlue Ridge Mountains(John Denverが、 “Country Road” という曲でalmost heavenと歌った山々)の麓に位置する風光明媚な大学街です。University of Virginiaは、建国の父(Founding fathers)の一人、3代目大統領のThomas Jefferson が創始し、自らも教鞭をとった米国最古の大学の一つです。彼が建築したもと図書館Rotunda はUNESCO 世界遺産に指定されたこともあり、米国の大学キャンパスで観光客が最も多い大学の一つになっています。もし母校がNew York City 以外にも研修先を探しているならばここは全くおすすめしたい場所です。

米国での時間の方が日本にいた時間よりも長くなってしまい、同じく神戸出身の妻とあやしい関西弁を話す以外は全く、英語の生活です。これまで帰国しても、なかなか神戸でゆっくりできる時間がなかったのが残念ですが、もし私が母校のためにお役に立てることがあればぜひ教えてください。
それでは長くなりましたが伯友会、伯医会諸氏のご活躍と健康を祈ります。

お元気で

MORI

森川雅浩(36期)